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ホッカイドウ競馬の新しい在り方を考える

先日9月8日、当ブログにて『「条件次第で道営競馬全廃」という北海道の方針について…』と題して、「北海道は道営競馬について安易に“廃止”などと言わずに、全道的な議論をしてその存廃を決めるべきだ」といった趣旨を書いた。

まぁ「議論をしろ」と言うだけなら誰でも言えるわけで、私もとりあえず何か意見を出してみようと思う。


先日の記事に書いたことから察してもらえるとは思うが私は、競馬ファンがいかに道営競馬を残してくれと懇願したとしても、全道的な理解が得られないなら全廃は致し方ないと考えている。

だが逆に言えば、道民の理解が得られるなら存続の道は開かれるのでは、とも思っている。道民が道営を支持すれば知事とて無下に廃止はできまい。知事自身が道民の支持で選ばれている存在だからだ。道営が全道民から支持されるように持って行くことが重要だと思う。


そのためには、道営の今の在り方を改める必要があるだろう。

「道営競馬は誰のためにあるのか?」

そもそも、道営は誰のためにあるのだろうか? 問題はここにあるように思う。

道営競馬の馬券を買い始めた頃からずっと気になっていたのだが、「道営は生産者のためにある競馬」のような気がする。

それを思わせるものはいくつもある。例えば、「魅力ある競馬づくり」を称して行われた道営の運営改善策のいくつかを以下に挙げると、

  • スタリオンレース(優勝馬主に種牡馬の種付権贈呈)
  • 外厩制度の日本初導入
  • 馬主服導入

がある。「魅力ある」とは誰に魅力なのだろうか? スタリオンレースは生産者(道営の場合、馬主イコール生産者が多い)に魅力ある話なのは明白だ。馬券ファンからすればこんなことをされても馬券を買うきっかけにすらならない。他の2つも生産関係者にとって魅力あることであって、ファンには大した魅力ではない。

門別競馬場も生産者競馬を思わせるものだ。もともとあったトレセンを改造するだけなのでコストが割安で済むという発想は理解できるものの、やはり道民の多数が住む札幌からの交通の便が悪すぎる立地であり、しかも入場人員500人しか想定していないスタンドでは、生産者のための競馬場という印象は拭い去れない。

北海道地方競馬運営委員会の資料を見ると、「道営は市場で売れ残った生産馬を生産者自らが所有し走らせる競馬でありセーフティネットとしての存在である」と堂々と謳っている。だが本来、道営競馬は道財政ひいては道民に寄与することを期待されているのであって、「生産者」に重きを置いた存在であってはならないはずだ。「道民」に重きを置いた存在でなければならない。

生産者競馬のままでは、税金により生き永らえさせてもらっている現状の道営競馬を存続させようという道民は多数にはならないだろう。

今後の道営の新しい在り方として、生産者競馬から脱却し、「道民のためにあるホッカイドウ競馬」をアピールする必要がある。「魅力ある競馬」は上等だが、生産者に魅力あるものではなく、単に競馬ファンに魅力あるという前に、何よりまず道民にとって魅力ある競馬でなければならないのではないか。




(ここから以下は思いつき話になります。内容に責任は持ちません。細かい指摘とかするなよ)

まぁ、ここまでは抽象的な話で、では具体的に何をするか。正直大雑把なイメージしか浮かんでいないが、こんな仕組みを提案してみようと思う。


「馬があなたの地域のために走ります」

競走馬を道内の様々な地域が所有するのだ。これを道営所属全馬に適用する。例えば、ある競走馬は札幌市北区北15条西1〜4丁目が馬主となる、別の競走馬は留寿都村全域が馬主となる、といった具合。

地元の少年野球チームとか高校野球チームを応援するような感覚をちょっと発展させた感じと言えばいいだろうか。地元のスポーツ選手や地元出身の有名人など、地元の何かを応援したがるという日本人気質を利用する。特に道民はこの気質が強い。

しかも、こういった競走馬が頑張って走って獲得した賞金は地元のものになるのだから、各競走馬はまさに地元を背負って走ってくれるのである。地元のために走ってくれる競走馬を応援しないわけがない。例えばの話だが、コスモバルクの馬主が「夕張市全域」だったら、コスモバルクは来る日も来る日も夕張市のために走るわけで、夕張市民は道営競馬に関心を持ち、馬も道営競馬も応援してくれるだろう。

また、この方式だと、もしJRAの馬を負かすような馬が出てきても、JRA移籍という道外流出の可能性は低い。引き続き道営所属馬としてJRAに挑戦を続ける道が選ばれやすくなる。(実力が認められて、中央の馬主が金銭トレードを申し込んで移籍という可能性はあるが…)

ただし、この方法は色々と問題がある。どの馬をどの地域が持つのか(抽選とかウェーバードラフトとかが考えられる)。馬の購入代金や預託料の問題。競走馬を持つというのはリスクも考えねばならず、そのリスクをどこまで抑えられるか。などなど。

ちなみに預託料については、仮の話だが、道内の納税者である約240万人全員が預託料を負担するとしよう。道営はおよそ1000頭の競走馬が在籍しているので、1頭を2400人が共同負担することになる。一方、道営の報償費(賞金や諸手当)は年間19.2億円。これを240万人で割ると一人が年間に得られるのは800円。これで賄える預託料は16万円で、道内納税者一人当たり月々66.7円を負担すれば良い。


もしそれがダメなら、こんな方法はどうだ。

各競走馬は今まで通り馬主のものだが、出走の度にどこかの市町村を背負って走ってもらい、賞金の一部をそこへ寄付する。例えば、ギルガメッシュがあるレースでは弟子屈町のために走り、また別のレースでは占冠村のために走る、といった具合。その都度、獲得した賞金の何割かはその市町村に寄付されるのだ。

馬主に寄付させる形態なので、道民の直接的な負担は無い。どの馬がどの地域を背負うかは出馬投票の度に抽選になるだろうが、寄付の年間通算額の不均衡を生じさせない仕組みを設ければいい。

参考までに、1日に100頭が走るとすると、道内は180の市町村があるので、およそ2日に1度、自分の市町村を背負った馬が1頭走ることになる。ある1日の道営全レースの賞金合計額を見てみると約1300万円であった。これを平均額とすると、賞金の2割が各市町村に均等に寄付されたら、年間(開催日数86日)寄付額は1つの市町村に120万円くらいになる。

賞金収入が実質的に減額となる馬主の反発はあるだろうが、競馬が開催される限り、市町村には寄付金が入るのだから「道営存続」という意見が高まることが期待できる。

ただし、開催するほどに赤字が膨らむ体質のままでは、道が市町村に税金をバラまいているのと変わりないので、道営自体の収入確保についても改善が必要だ。


「『馬っ気王子』を作って収入源に」

収入源といえば協賛競走だ。道民のための競馬なので、他地方競馬が既に導入している個人協賛競走は当然やる。道民優先で好きなレース名を付けてもらう。ただ、これだけでは収入源とは言い難いので、企業協賛レースも当然やる。

これ以外に、競馬場の至る所に企業の広告看板を設置する。プロの野球場やサッカー場には当たり前のようにあるが、今のところ競馬場には無い。これは是非やるべき。これだけで広告収入は全然違う。競馬場のネーミングライツも売ってしまおう。また、騎手の勝負服やヘルメットにも広告馬のゼッケンやメンコにも広告。F−1さながらにしてしまう。体裁など気にしてはいけない。

あとはテレビでの放送だ。これが無いと、企業広告の価値が上がらない。民放5局に輪番制で放送させる。

そして、メディアは使える限り有効に使う。個性のある馬がいたら即特集を組ませる。愛称を付けさせる。「いななき王子」とか「尻っぱね王子」とか「馬っ気王子」とか。道内の人気者になるであろう。それをグッズ販売に繋げる。視聴率も獲れる。その結果、馬券以外の収入が増える。

とにかく、馬券売上による収入の依存度を下げる工夫をしたほうが良い。それにはまずメディアに取り上げてもらうことが肝心だ。それにより広告や企業協賛競走が価値を増し、そちらの収入が増える。それを諸経費に充てたり賞金にまわすなどすれば良い。

賞金のほとんどは広告費で賄うくらいがいい。というのも、上述の「馬が獲得した賞金が地元に入る」という方式は、賞金額が大きいほどいいに決まっている。多くの道民が道営競馬に関心を持ち、テレビ放送を必ず見て、グッズ購入するなどしていたら、メディアが放っておかない。すると企業スポンサーもつく。そして広告収入も増える。それが賞金に回される。

つまり、道民が競馬に関われば関わるほど地元への収入が増えるのだ。この事実を道内に周知させる。これであれば、道営が道民を一方的に支える(ここ十数年は支えてもらってるだけだが…)という今までの構図ではなく、道民が道営を育て共に支え合うという構図をも目指せるのである。



細かい部分で問題は大ありだが、道営関係者とか道の担当職員とかがちょっとは参考にしてくれたら、意見を出した甲斐があったというものなんだけどなぁ…。
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