カテゴリー: K馬券Q

【K馬券Q】(第6回) WIN5と単勝式の関係 〔第2講〕

 引き続き、「新馬券・WIN5と単勝式の関係」の第2講と参りましょう。

 第1講では、WIN5は「単勝式という篩(ふるい)に5回かけて生き残ったら的中という馬券」であり、各レースの篩は単勝オッズと相関している、といった内容でしたが、第2講では、単勝コロガシとどう違うのか、という話をしましょう。また、WIN5が2億円になる時の勝ち馬の単勝人気についても述べます。

まずは単コロとの関係です。あれこれ説明するより、まずは表にしてみましょう。過去6回に関して、WIN5の対象5レースで100円から単勝コロガシが成功し続けた場合に手にする金額の遷移です。

日付 1レース目 2レース目 3レース目 4レース目 5レース目 WIN5
2011/04/24 350円 1,880円 9,980円 50,570円 545,470円 810,280円
2011/05/01 1,680円 7,600円 22,800円 79,800円 1,348,620円 2,183,780円
2011/05/08 450円 1,330円 6,010円 69,610円 320,170円 508,690円
2011/05/15 310円 4,120円 24,210円 481,590円 1,974,240円 7,636,650円
2011/05/22 480円 2,480円 75,440円 361,960円 13,462,740円 146,850,110円
2011/05/29 250円 630円 2,010円 37,010円 111,010円 555,070円

 さてどうでしょうか。真っ先に思いますよね、「単コロってWIN5より割が悪いの?」って。

 実はそうなんです。5月15日のBSフジ競馬中継で須田鷹雄がWIN5の途中経過に関して「既に単勝コロガシより良い配当になっています」みたいなことを言っていましたが、これ、当たり前なんです。

 そのカラクリは控除率の適用にあります。第1回「人気と配当率の関係」でも述べた通り、JRAは馬券の売上額から 約25% を差し引き、残った金額を的中票数で割ったものを払戻金としています。単勝式は毎レースでこれが適用されますが、WIN5では5レース分で1回だけの適用です。変な言い方をすると、WIN5では 100% を次レースにコロガせるのに対し、単勝コロガシは 約75% しか次レースにコロガせない、といった感じでしょうか。従って、単勝5回コロガシはWIN5と比較すると4回多く控除されるため、平均的には大凡で 75%の4乗=31.6% の払戻金しか得られないことになります。上記表だと、5月15日がその関係にやや近いと言えるかも知れません。

 あくまで平均の話であって、実際にはいろんな要素が関係してこの数字通りにはならないでしょうが、ともかく、単勝コロガシがWIN5を上回ることはほぼあり得ないのです[*1]。

 5レース全ての勝ち馬を的中させる、という点で同じなのに、買い方の違いでこれだけの差が出るため、単勝コロガシのメリットは無いと言って良いです[*2]。敢えてメリットを挙げるとしたら1つくらいしか思いつきません。それは、単勝をコロガシ切れたら2億円を超えると分かっている場合。WIN5には上限がありますが、コロガシにそんな制限はありません。但し、5レース目で2億円を超えるほど単勝式を買い込んだら、そのオッズはかなり下がってしまって2億円には届かなくなる可能性があるので要注意です。

 最後に、WIN5の払戻金が2億円になる時の勝ち馬の単勝人気ってどんな組み合わせ?という話をしましょう。とはいえ、最大で188万9568通りにもなる馬券なので、細かい話はしません。2つに絞ってお話します。

 1つは、これまでに発売された6回に関して、4レース目までは実際と同じように決まったとして5レース目でどういう人気の馬が来れば2億円になったのか、という話。第1講で述べたように、各レースで単勝支持率と残存率がリンクするということから、ある程度のオッズでそれが表現できるわけです。

 では払戻金が最も安かった5月8日で見てみましょう。

 この日の発売票数だと払戻金が2億円となる的中票数は3票です(上限が無ければ218,394,800円)。5月8日の4レース目終了時点での残り票数は6,060票でしたので、これが3票になる残存率は0.05%。この値から求まる単勝オッズとは…、

 1490.8倍!

 これは酷過ぎますね…(笑) 東京優駿でのタチカゼの単勝554.3倍でも遠く及びません。こんな感じで、過去6回を一覧にまとめると以下のようになります。

日付 残り票数 払戻金
(上限なし)
残存率 単勝
オッズ
4レース目 5レース目
2011/04/24 7,170票 2票 268,606,800円 0.03% 2645.8倍
2011/05/01 6,122票 3票 230,024,490円 0.05% 1506.1倍
2011/05/08 6,060票 3票 218,394,800円 0.05% 1490.8倍
2011/05/15 402票 3票 259,645,970円 0.75% 98.9倍
2011/05/22 543票 4票 220,275,160円 0.74% 100.2倍
2011/05/29 5,207票 4票 228,409,340円 0.08% 960.7倍

 過去6回はいずれも最後の5レース目で2億円超えとなるにはよほどの人気薄が来ないと達成できなかったことが分かります。ただ、5月15日は12番人気81.5倍のスプリングサンダーまたは13番人気114.8倍のコスモネモシンあたり、5月22日は14番人気96.2倍のスピードリッパーあたりが勝っていれば2億円に到達した可能性がありました。この2回以外はタチカゼ級でも2億円には届かなかったでしょう。

 やはり突発的に1レースだけ荒れれば2億円になるってものでもないようです。

 ならば、もう1つの話、どの程度の人気の馬が5回続けば2億円になるのかを考えてみましょう。

 第1回「人気と配当率の関係」で示した式におけるW/Fが 0.00003690% であれば2億円になるのですが、これの5乗根は 5.17%。単勝支持率がこの値となる単勝オッズとは…

 14.3倍!

 結構意外ですね。14.3倍くらいの馬が5レース全てで勝ち続ければ2億円になる可能性があるとは。先週のダービーで言えば、6番人気13.6倍のコティリオンや7番人気15.8倍のトーセンラーあたりの人気が5回続けば、ということです。勿論、WIN5の残存率と単勝支持率が完全に一致はしないのは既述の通りですが、大体の目安にはなるでしょう。[*3]


 以上、WIN5と単勝式の関係についてでした。計算間違いとかあるかも知れませんが、まぁその辺は笑って許してください。

 次回ですが、テーマは特にありません。いつやるかも決めてません。これが最後かも知れませんし、また何か研究するかも知れません。ふと思い立ったらやります。

 あと、『web楡馬』も、ヒマだったらご覧ください (これを読んでる方はヒマな方だと思いますが…)。よろしくお願いします〜。


[補足*1]
もし単コロがWIN5を上回るとしたら、第1講で述べた残存率と単勝支持率の相関関係が全く崩れてしまう程に、馬券の売れ方に偏りがあった場合です。

[補足*2]
もちろん、WIN5対象レース以外では単勝コロガシは意味があります。WIN5対象レースで単勝を5回コロガすくらいならWIN5を買うほうが良い、という話です。

[補足*3]
18頭立ての場合、全馬の勝つ確率が等しいとしたら、その勝率は1/18=5.56%。単勝オッズにすると13.3倍。等確率より少し悪いくらいの馬が5回勝てば2億円。こう考えると、2億円ってあっさり出ても不思議じゃない気がするんですが…。

【K馬券Q】(第5回) WIN5と単勝式の関係 〔第1講〕

 2年8か月ぶりの復活! 明るく楽しく損をする馬券研究【K馬券Q】です。わずか4回やっただけで2008年10月を最後にずっとご無沙汰していましたが、ふと復活してみました。(第1回にて「不定期に馬券を研究していく」と書きましたが、不定期にも程がありますね…)

 これまでは「人気と配当率の関係」、「人気と回収率の関係」「タケユタカ学 第1講・第2講」を紹介してきましたが…。

 第5回のテーマは「新馬券・WIN5と単勝式の関係」です。長くなるので、第1講と第2講に渡ってお送りします。

 第1講は、「残存率と単勝支持率の関係について」です。“残存率”って何?というのは後述します(私が便宜的に付けた名前なので)。

4月24日から発売された新馬券「WIN5」。しょぼい名前がついていますが、早い話が五重勝。5レースの勝ち馬を全部当てろ、という馬券なわけです。

 馬券の細かい説明はJRAのサイトでも参照していただくとして、この馬券が発売されて以降これまでに6回発売された結果をおさらいしてみましょう。

発売日 払戻金 発売票数(※) 的中票数
2011/04/24 810,280円 7,279,317票 663票
2011/05/01 2,183,780円 9,350,589票 316票
2011/05/08 508,690円 8,877,837票 1,288票
2011/05/15 7,636,650円 10,554,714票 102票
2011/05/22 146,850,110円 11,939,033票 6票
2011/05/29 555,070円 12,379,910票 1,646票
(※)便宜上、返還票数は差し引いています.

 最低額でも 508,690円、最高額が 146,850,110円。JRAのそれまでの最高払戻額[*1]を5回目にして文字通り桁違いな更新ですから、その破壊力たるや恐ろしいものがあります。

 表の「的中票数」を見ていると、一千万票が最後はたった6票かよ…、などと思ってしまいますが、この票数は、五重勝という馬券の性質から、“単勝を的中させる”という篩(ふるい)に5回かけられて残った結果、と言い換えることができます。

 JRAのサイトではWIN5の「残り票数」の遷移が毎回掲示されているのですが、「nレース目残り票数」÷「(n−1)レース目残り票数」を“残存率”と仮に名付けて計算してみましょう[*2]。個々のレースは“単勝を的中させる篩”なのですから、nレース目の残存率はnレース目の勝ち馬の単勝支持率に近い値のはずです。

『2011/04/24 WIN5の残存率遷移と各レース勝ち馬の単勝支持率』
発売票数 京都10R 東京10R 新潟11R 京都11R 東京11R
残り票数 7,279,317票 1,764,941票 294,456票 58,109票 7,170票 663票
残存率 24.25% 16.68% 19.73% 12.34% 9.25%
勝馬単勝人気 1番人気 3番人気 3番人気 3番人気 4番人気
勝馬単勝オッズ 3.5倍 6.1倍 5.5倍 5.1倍 10.8倍
単勝支持率(max) 21.71% 12.30% 13.67% 14.76% 6.90%
単勝支持率(min) 21.09% 12.10% 13.42% 14.47% 6.83%

 まずは最初の発売日である4月24日の結果。尚、単勝支持率に(max)と(min)があるのは、オッズから支持率を逆算したためです。[*3]

 まぁその辺の言い訳はともかく、各レースにおける残存率と単勝支持率はなかなか似通った値になっていることが見て取れます。

 残り5回の表もお見せしておきましょう。

『2011/05/01 WIN5の残存率遷移と各レース勝ち馬の単勝支持率』
発売票数 東京10R 京都10R 新潟11R 東京11R 京都11R
残り票数 9,350,589票 368,621票 75,709票 23,378票 6,122票 316票
残存率 3.94% 20.54% 30.88% 26.19% 5.16%
勝馬単勝人気 4番人気 2番人気 1番人気 2番人気 7番人気
勝馬単勝オッズ 16.8倍 4.7倍 3.0倍 3.5倍 16.9倍
単勝支持率(max) 4.42% 16.04% 25.45% 21.71% 4.39%
単勝支持率(min) 4.39% 15.70% 24.60% 21.09% 4.37%
『2011/05/08 WIN5の残存率遷移と各レース勝ち馬の単勝支持率』
発売票数 京都10R 東京10R 新潟11R 京都11R 東京11R
残り票数 8,877,837票 1,485,635票 442,036票 119,893票 6,060票 1,288票
残存率 16.73% 29.75% 27.12% 5.05% 21.25%
勝馬単勝人気 3番人気 1番人気 2番人気 5番人気 1番人気
勝馬単勝オッズ 4.5倍 3.2倍 4.6倍 11.6倍 4.6倍
単勝支持率(max) 16.77% 23.81% 16.40% 6.42% 16.40%
単勝支持率(min) 16.40% 23.06% 16.04% 6.36% 16.04%
『2011/05/15 WIN5の残存率遷移と各レース勝ち馬の単勝支持率』
発売票数 京都10R 東京10R 新潟11R 京都11R 東京11R
残り票数 10,554,714票 3,148,126票 150,001票 22,404票 402票 102票
残存率 29.83% 4.76% 14.94% 1.79% 25.37%
勝馬単勝人気 1番人気 5番人気 2番人気 6番人気 2番人気
勝馬単勝オッズ 3.1倍 13.7倍 5.9倍 19.9倍 4.1倍
単勝支持率(max) 24.60% 5.43% 12.72% 3.73% 18.45%
単勝支持率(min) 23.81% 5.39% 12.51% 3.71% 18.00%
『2011/05/22 WIN5の残存率遷移と各レース勝ち馬の単勝支持率』
発売票数 京都10R 東京10R 新潟11R 京都11R 東京11R
残り票数 11,939,033票 2,449,878票 341,321票 2,648票 543票 6票
残存率 20.52% 13.93% 0.78% 20.51% 1.10%
勝馬単勝人気 2番人気 3番人気 10番人気 2番人気 7番人気
勝馬単勝オッズ 4.8倍 6.0倍 31.4倍 4.8倍 37.2倍
単勝支持率(max) 15.70% 12.51% 2.36% 15.70% 1.99%
単勝支持率(min) 15.38% 12.30% 2.35% 15.38% 1.98%
『2011/05/29 WIN5の残存率遷移と各レース勝ち馬の単勝支持率』
発売票数 京都10R 東京10R 新潟11R 京都11R 東京11R
残り票数 12,379,910票 3,637,054票 1,316,329票 457,639票 5,207票 1,646票
残存率 29.38% 36.19% 34.77% 1.14% 31.61%
勝馬単勝人気 1番人気 1番人気 1番人気 8番人気 1番人気
勝馬単勝オッズ 2.5倍 2.9倍 3.3倍 18.5倍 3.0倍
単勝支持率(max) 30.75% 26.36% 23.06% 4.01% 25.45%
単勝支持率(min) 29.52% 25.45% 22.36% 3.99% 24.60%

 いずれも各レースにおける残存率と単勝支持率は大凡で近い値となっていることが見て取れます。

 興味深いのは5月29日でしょう。3レース目まで1番人気が勝ち続けたものの、4レース目で8番人気18.5倍の馬が勝ったところ、残存率が単勝支持率の4分の1ほどに下回りました。これは分母の偏りのせいだと思います。というのも、4レース目の分母は前3レースで1番人気を選択し続けた票ばかり、つまり本命党が多くを占めているはずです。そんな人たちが4レース目でいきなり8番人気を選択するのは至難でしょう。逆に単勝式はそんな分母の偏りは皆無で本命党も穴党も混在しています。これが表の通りの差となったと考えられます。

 このことは、分母に穴党も本命党も関係なく混在している状態である1レース目の残存率と単勝支持率が割と近いことからも確認できます。但し、5月22日の京都10Rは残存率のほうがやや高めですが、これはハンデ戦で紛れを警戒したからでしょうか。1レースに1頭しか選択しないのが通常の単勝式と違って、重勝式は1レースに2、3頭を選択することが珍しくないので、こういうことも起こりうるかと。[*4]

 以上より、各レースで残存した票の偏りはあるにせよ、単勝支持率と残存率は近い関係にあるということは言えそうです。つまりそれは、WIN5における各レースの馬番号選択は単勝人気とある程度リンクしている、ということです。


 以上、当たり前なんだろうけど、その当たり前を明らかにして確認しました、という内容でした。

 一応、第2講に続きます。飽きた人はもう読まないほうがいいです。大したことは書いてませんので…。


[補足*1]
2011/02/13 1回小倉8日第4競走で出た、三連単19,507,010円(3360通り中 3120番人気)がそれまでの最高払戻金。ちなみに、馬単と三連複が導入された2002年6月までの間、JRAの最高払戻金額は1954年10月30日に出たもので、三重勝507,940円。WIN5といい、重勝式馬券の持つ威力が窺い知れますね。

[補足*2]
「n=1」の時の分母は、「発売票数」です。

[補足*3]
本当はちゃんと発売票数とかを調べれば正確な値が分かるわけですが、票数データが手元に無かったので、第1回「人気と配当率の関係」で示した式から逆算しています。四捨五入の関係で誤差はあれど、実際の支持率はこの範囲内に入っているはずです。

[補足*4]
余談ですが、私は1レースに単勝5点買いした人を知っています。もっとも、それはマヤノトップガン、マヤノトップガン、マヤノトップガン、マヤノトップガン、マヤノトップガンという5点買いでしたが…。

【K馬券Q】(第4回) 〔タケユタカ学 第2講〕

 前回は 〔タケユタカ学 第1講〕 を執筆したわけですが、とても好評だった (誰からも非難されなかった) ので、気を良くして 第2講 も続けてやってしまいしょう。

 今回のテーマは、「今年の新人・三浦皇成との比較」です。前回の研究にコメントを寄せてくださった Pochi さんのご考察が大変に鋭いものでした。これは是非研究してみなくては、と早速着手しましたよ。

 間もなく武さんが作った新人最多勝記録を更新すると言われる大型新人・三浦と、前回の研究で落ち目と片付けられたもののデビューした年は大いに騒がれた武さんの新人時代。果たしてどちらが優れているのか。「Pochiさん仮説」が正しいとすると、三浦が新人時代の武さんと同レベルかそれ以上の成績ならば、武さんの斜陽が裏付けられるわけです。

まずは、武さんの1年目の騎乗成績と、三浦皇成の先週10月5日までの騎乗成績をお浚いしておきましょう。

[表1] 1年目騎乗成績

1着 2着 3着 騎乗 勝率 連対率 備考
武 豊 69 63 57 554 12.45% 23.83% 1987年度成績
三浦 皇成 65 54 44 553 11.75% 21.52% 2008/10/5 時点

 三浦皇成は記録更新にあと 5勝 というところまでに、10月第1週で到達したわけですか。なるほど、凄いですね。

 勝率や連対率では武さんが若干上ですが、回収率などではどうでしょうか。1年目9月末時点での武さんと三浦の成績について、単勝・複勝それぞれの回収率と、前回に使った「大舞台に強いぞインデックス」を示してみます。

[表2] 回収率&「大舞台に強いぞインデックス」

勝利 単勝
回収率
複勝
回収率
index
武 豊 48 68.98% 73.09% 78.06%
三浦 皇成 64 86.18% 70.30% 74.57%

 複勝回収率とインデックスは武さんが上回っていますが、さして高いわけでもない数値で、しかも大差があるわけではないので同レベルと言っていいでしょう。単勝回収率は三浦が差をつけました。これは武さんに比べ、人気のあまりない馬をも勝たせていることになりますね。この点では武さんより三浦が上です。っていうか、武さんは昔から人気馬に頼った成績の出し方をしていたんですねぇ。

 [表1]に戻ってよく見ると、騎乗数もこの時点で武さんの通年の数字に迫ってます (今日、武さんの新人最多騎乗数を更新)。まぁ、21年前と今とは事情が違うので単純比較はできませんが、周囲の三浦にかける期待の大きさが当時の武さんより大きいと言えるかも知れません。

 では、その辺りを見るべく、武さんと三浦それぞれ、いくつの厩舎の馬に騎乗したかを見てみましょう。

[表3] 騎乗厩舎数

騎乗
厩舎数
勝利
厩舎数
備考
武 豊 53 23 1987年9月末 時点
三浦 皇成 103 35 2008年9月末 時点

 両者を9月末時点で比較してみました。上記表の見方は、武さんはデビューから9月末までに 計53厩舎 の馬に騎乗し、23厩舎 に勝利をもたらした、となります。騎乗厩舎数は、騎乗依頼をしてきた厩舎の数ということになります[*1]。

 三浦は多くの厩舎から乗せてもらってますね。まぁ武さんとは時代が違うので単純比較はできませんが…。21年前はまだまだフリー騎手が少なく、まして他厩舎の新人を乗せようという風潮は根付いていなかった時代です。師匠の武田作十郎師が知り合いの調教師を訪ねて頭を下げて乗せてもらった上での「53」という数字です[*2]。

 じゃぁ三浦の「103」は何もしないで積み重なった数字か、というとそうでもないでしょう。

[表4] 地区別騎乗成績

北海道 関東 関西
1着 2着 3着 騎乗 1着 2着 3着 騎乗 1着 2着 3着 騎乗
武 豊 – – – – – – – – 48 45 37 372
三浦 皇成 40 31 28 291 23 19 13 234 1 1 2 11

 上記表は、両者それぞれデビュー年の9月末時点での、北海道(札幌、函館)、関東(福島、新潟、東京、中山)、関西(中京、京都、阪神、小倉)での騎乗成績をまとめたものです。

 武さんは9月末時点まで関西以外で騎乗が一切ないのに対して、三浦は北海道参戦しています。北海道に行けば関西の厩舎も来るため、そういった厩舎の馬に騎乗するチャンスは増えます。しかし、夏の北海道は東西のトップジョッキーが集まるため並みの中堅騎手でも厳しいものです。新人の身でそこへわざわざ飛び込んで、しかもリーディング争いを繰り広げたわけです。こんな騎手を周囲が放っておくわけがありません。厳しい環境に身を置くリスクに敢えてアタックして勝ち得た「103」と言えるわけです[*3][*4]。一方、新人時代の武さんはそんな冒険はせずに、ずっと関西で乗り続けておりました。

 とまぁ、単純に騎乗成績で見ても三浦が武さんより上。厩舎付き合いの広がり具合に至っては武さんを圧倒してます。っていうか、新人騎手が出す数字じゃないよ、と思ってしまう程です。

 上記は9月までの成績で見比べた話。あとは10〜12月の残り3か月間で、三浦が重賞を2つ以上勝って武さんに追い付き、追い越せば完璧です。「Pochiさん仮説」で武さんは斜陽の一途を辿るわけですね。


 今日はこの辺で終了です。来週は『web楡馬』秋華賞号を発行予定ですので、この記事を読んじゃった方はヒマ人のはずなので、そちらも読んでヒマつぶししてください。


[補足*1]
騎乗馬が重複して断ったり、除外や取消で騎乗がなくてカウントされていない依頼もありえるので、あくまで“少なくとも”の数です。

[補足*2]
武さんの前の記録保持者・加賀武見の時代はもっと厳しかったはずです。なにせ馬資源が少なく、一流騎手でも騎乗数確保に苦労していた時代ですから。

[補足*3]
関西での騎乗数「11」は、3月29日と30日の中京によるものです。裏開催である中京でまず騎乗する新人が多いのに対し、三浦の場合は逆で、デビューから4週は中山で騎乗し、5週目に中京へ。しかもその週はトップジョッキーが集まるG�騎�催の週。北海道参戦といい、どうも痛い目を見る確率の高いほうへと行きたがる騎手です。もしかしたら三浦はドM?

[補足*4]
三浦は北海道での騎乗を重ねた結果、函館・札幌で、74 の厩舎の馬に騎乗しました。北海道で活躍する利点の一つとして関西の調教師にも接点を作れることが挙げられます。将来トップジョッキーになった際のさらなる飛躍のための布石になるはずです。この北海道遠征中、関西の厩舎では、佐々木晶三、山内研二、鮫島一歩、加用正、森秀行といった厩舎の馬に特に多く騎乗しています。

【K馬券Q】(第3回) 〔タケユタカ学 第1講〕

 いささか、馬券研究も飽きたので、(え〜っ!? まだ2回しかやってないのに…?) ここらで、最近どうも落ち目な感じが否めない武豊さんを研究してみようと思い立ちました。

 9月28日終了時点で121勝で、2位・岩田康誠と32勝差をあけてブッチギリのリーディングをひた走っているはずなのに、どうも落ち目な感じがしてならない武さん。

 今年の武豊は何かヘンだぞ、と思っている人はこれを読めば納得できるかも知れません。(できないかも知れません)

手始めに、今季の武さんの9月28日終了時点での成績をお浚いしておきましょう。

1着 2着 3着 騎乗 勝率 連対率
121 78 55 552 21.92% 36.05%

 いやぁ、これだけ見たら、十分な数字ではありませんか。勝ち鞍は挙げているのに何で落ち目に見えるんでしょうかねぇ。

 じゃ、今季彼が勝った重賞を見てみましょうか。

競走名 騎乗馬
フェブラリーS ヴァーミリアン
ファルコンS ダノンゴーゴー

 …あれ? これだけ? 2勝しか挙げてませんね。地方で関東オークスを勝ってはいますが、中央ではこれっぽっちなんですか、天下の武豊が…!? 去年の同時期は重賞11勝を果たし、最終的には15勝にまで達したのですがねぇ。

 つまり、大きなレースを勝たないんで印象が薄くなったってことでしょうか。それを明らかにすべく、ちょっと変わった指標を考えてみました。名付けて「大舞台に強いぞインデックス」。

 まず、1着の本賞金がどんな額のレースを平均的に勝っているのか、を見てみます。

 これは、1着になったレースの1着本賞金を合計し、それを勝利数で割ります。例えば、100勝を挙げていても、それが全て未勝利戦で挙げた騎手の場合、その値は500万円にしかなりません。逆に、唯一の勝利が東京優駿という騎手の場合は1億5000万円となります。他では勝てないものの、大舞台だけ強い騎手ほど高い数字になるはずです。

 上記の計算を今季の武さんに適用すると、勝利を挙げたレースの1着本賞金の平均は、905.62万円です。

 これだけだと周りと比べて高いのか低いのか判りにくいので、今季これまでの全レースの1着本賞金平均との比を見てみましょう。これが「大舞台に強いぞインデックス」となります[*1]。

 すると、9月28日現在の全レースの1着本賞金の平均は 991.99万円 (障害競走は除く) なので、

 905.62 ÷ 991.99 = 91.29%

 ありゃ? 平均を下回りましたね。

 参考までに、今季の「大舞台に強いぞインデックス」上位5位の騎手を以下に列挙しておきましょう。(障害競走は除く)

騎手 勝数 index
高野 容輔 1 393.15%
小原 義之 4 189.52%
川原 正一 1 184.48%
田中 学 1 184.48%
四位 洋文 39 180.39%

 今季の勝利がマーメイドSのみの高野がダントツ1位です。「大舞台に強いぞインデックス」の意味がお解りいただけましたか?

 でも、勝利数が少ない騎手が一発屋的に上位に来やすいのは確かで、どこかアンフェアな取組に見えますので、勝利数が10勝以上の騎手に絞ってみましょうか。

順位 騎手 勝数 index
1位 四位 洋文 39 180.39%
2位 岩田 康誠 89 145.70%
3位 池添 謙一 36 142.61%
4位 川田 将雅 60 139.75%
5位 横山 典弘 79 136.57%
6位 上村 洋行 24 130.42%
7位 幸 英明 44 122.25%
8位 小牧 太 54 119.03%
9位 藤岡 佑介 63 118.62%
10位 角田 晃一 22 114.88%
30位 武 豊 121 91.29%

 では、武さんはなぜ平均を下回ってしまっているのか、分析してみましょう。少なくとも、先ほどのインデックスから、大きなレースを勝っていないであろうことは解ります。でも121勝を挙げているんです。ということは、結論は簡単ですね。そうです。安いレースばかり勝っていることになります[*2]。それを確かめてみましょう。

 以下の表は、今季の武さんのクラス別騎乗成績を示したものです。

クラス 馬齢 勝数 騎乗数 勝率 単勝
回収率
未勝利 2歳 3 13 30.14% 79.23%
3歳 50 159
新馬 2歳 6 20
3歳 4 17
500万下 2歳 0 0 22.29% 72.23%
3歳 11 45
3歳上 15 63
4歳上 9 49
1000万下 3歳 0 1 13.92% 79.87%
3歳上 2 25
4歳上 9 53
1600万下 3歳上 0 10 7.69% 42.05%
4歳上 3 29
オープン 2歳 1 4 13.24% 29.85%
3歳 4 25
3歳上 1 16
4歳上 3 23
Total 121 552 21.92% 68.62%

 なるほど。これでハッキリしましたね。勝利数の半分以上が未勝利+新馬戦に偏っていて、やけに高い勝率を誇る一方、上位クラスでは勝率が低いだけでなく、たまに勝ったとしても人気馬での勝利が中心ということです。そりゃ今季の武さん乗れてないって思われますよ。

 一応、過去のインデックスはどうだったか、も見比べておかないといけませんね。以下の表は、武さんのデビュー以来の年度別「大舞台に強いぞインデックス」です。(2008年度は9月28日終了時点)

年度 index 年度 index
1987 97.17% 1998 153.19%
1988 123.03% 1999 131.98%
1989 145.54% 2000 129.99%
1990 152.12% 2001 146.26%
1991 139.15% 2002 146.39%
1992 111.53% 2003 120.84%
1993 144.51% 2004 124.18%
1994 133.20% 2005 141.40%
1995 117.96% 2006 163.15%
1996 132.48% 2007 136.37%
1997 149.22% 2008 91.29%

 今年、平均割れしてしまったらデビュー年以来の出来事ですね。しかも現在はデビュー年よりも悪いです。それにしても昨年からガクンと落ちてしまっていますが、これはどういうことなんでしょうか。

 察するに、昨年のリーディング争いで上半期は岩田の後を追う展開となり、岩田が北海道参戦や騎乗停止になってくれたお陰で何とか逆転できたわけですが、今年はもっと余裕をもってリーディングを突っ走りたいとの考えから、大きいレースは岩田にくれてやる代わりに、小さなレースでコツコツと勝ち鞍稼ぎをする、という手段に出たのではないでしょうか?


 …とまぁ、天下の武豊も落ちぶれた、と勝手に解釈して今回は終了〜♪ さて次回は、気が向けばタケユタカ学の第2講でもやりましょうか。

 その前に、今週は『web楡馬』スプリンターズS号を発行する予定です。おヒマでしたらそちらもよろしく。


[補足*1]
“大舞台に強い”というよりは、平均より高い賞金のレースを勝っているか、安いレースを勝っているか、を見る指標ということです。

[補足*2]
武豊がかつて挙げた年間200勝超ほどの勝ち鞍となると、平均より安いレースも勝たねばならないため、多く勝つほどこの数値はどうしても平均に近づくことになります。ただ、満遍なくいろんなレースを勝っていれば、平均より高額なレースも勝つはずなので、平均を下回ることはないでしょう。

【K馬券Q】(第2回) 人気と回収率の関係

 立て続けに、第2回も書いちゃいましょう。

 第2回のテーマは、第1回が好評だったので、ズバリ「人気と回収率の関係」です。

 前回と何が違うのか、ですか? 前回は「配当率」だったのが、今回は「回収率」になっていますよ。

 っていうか、ホントはこっちを第1回として書こうかと思っていたくらいで、前回のは第0回にでもしたほうがいいような内容です。あれって、そこいらの本に書いていそうな話ですから。対して、今回のはちょっと趣が違うと思います。

まず「回収率」という言葉の説明をしておきましょうか。ご存じの方にはどうでもいい話になります。

 「回収率」には大きく2通りの意味があります。1つは、投じた金額に対する、払戻を受けた金額の割合です。例えば、あるレースで、合計1000円投じて、2000円の払戻を受けたら、そのレースでの回収率は 200% です。1年間を通じて、合計100万円投じ、合計80万円の払戻を受けたら、その1年間の回収率は 80% です。

 もう1つの意味は、ある条件の下、同じ金額で、ある期間洩れなく投票し続け、その結果受けた払戻総額の、投資総額に対する割合です。例えば、1日間、武豊の全騎乗馬に単勝100円を投じるとします。仮に10回の騎乗があり、1着が 3回 あって、それぞれの単勝払戻が180円、200円、220円だったら、武豊のその日の単勝回収率は 60% (=(180+200+220)÷(100×10)) だった、という言い方をします。

 つまり、前者の意味では馬券を投じる側が主体となっている語で、後者は投じられる側が主体となる語なわけです。また、言うまでもなく、100% を超えて欲しい数値です。

 また、回収率の平均値は配当率そのものです。前者の意味では、あなたの日頃の回収率が 75% を大きく下回るようなら「馬券ベタ」と称され、75% 前後なら「普通」と称されることでしょう。100% を大きく超えるなら馬券で生きていけるかも知れません。

 で、今回は後者の意味での話です。なお、K馬券Qでは今後も「回収率」を大抵の場合において後者の意味で使うと思います。

 さて本題。馬券には単勝や複勝や3連単など様々な投票法がありますが、それぞれ1番人気の回収率ってどんなもんでしょうか?

 そこで、1988年から2007年までの20年間のJRA全レースの払戻結果から、各式別について年度毎に回収率を出してみました。

投票法別 1番人気の回収率
年度 単勝 複勝 枠連 馬連 ワイド 馬単 3連複 3連単
1988年 74.75% 82.21% 75.91%
1989年 75.68% 81.93% 78.59%
1990年 75.01% 82.81% 79.50%
1991年 76.90% 83.46% 78.38% 90.51%
1992年 76.84% 82.66% 76.50% 76.75%
1993年 76.51% 82.30% 79.16% 78.51%
1994年 75.14% 80.50% 79.35% 81.22%
1995年 75.34% 81.83% 75.95% 76.94%
1996年 76.98% 80.55% 73.26% 79.27%
1997年 75.08% 82.22% 76.53% 80.02%
1998年 75.87% 80.88% 75.70% 73.98%
1999年 76.06% 83.17% 76.19% 77.46% 82.44%
2000年 79.75% 80.85% 77.15% 77.26% 75.78%
2001年 75.89% 81.46% 75.52% 73.66% 75.33%
2002年 76.24% 80.78% 75.68% 76.35% 70.12% 75.21% 81.96%
2003年 75.15% 79.71% 77.45% 78.15% 68.87% 71.28% 72.73%
2004年 74.04% 82.24% 78.24% 76.18% 70.60% 71.29% 79.58% 65.19%
2005年 77.84% 82.37% 71.71% 73.01% 70.28% 69.25% 65.97% 57.98%
2006年 76.24% 82.51% 75.58% 70.57% 68.97% 68.52% 68.65% 33.26%
2007年 74.76% 82.79% 76.63% 76.97% 70.78% 74.99% 67.24% 47.87%
平均 76.01% 81.86% 76.65% 76.76% 71.46% 71.46% 71.90% 48.17%

 見渡してみると、さすがに配当率に近い数値が出てますね。単勝と複勝は他の投票法より高めの配当率が設定されていて、約 80% ほどであることを踏まえると、配当率より高めに出ている投票法は複勝、枠連、馬連だけで、あとは配当率より低い回収率です。

 そして、3連単! 悪過ぎでしょ、3連単。あんまり悪いので、個別に調べました。3連単の1番人気の的中率は 1.6% ほどで、これを第1回に記載した、支持率から凡その配当金を計算する式にあてはめてみると、4620円 くらいの配当金が平均値として出て欲しいところです。…が、実際に1番人気が的中した配当金の平均は 3017円 しかありませんでした。これって、割が合わないほど1番人気馬券が買われているか、確実性の高い1番人気しか的中できていないってことになりますね[*1]。まぁこの馬券が登場してから5年も経ってなくて、点数の多さの割には後半4レースでしか発売しないのですから、まだまだ上手い買い方・見極め方が見つかっていないということでしょうかね。

 あと上記表から、面白いことに気付きました。1991年に馬連、1999年にワイド、2002年に馬単と3連複、2004年に3連単がそれぞれ新馬券として登場したわけですが、いずれもその最初の年度は、以降の年度より高い回収率が出ています。最初の年は皆さん手探り状態で、とりあえず手広く買っとけ、ってことなんでしょうか? 1年目だけは特殊な購買心理が働くようです。んー、興味深い話ではありますが、この話って、次に新馬券が登場するまで役立てようがありませんね。次に出るとしたら重勝式?

 さて、1番人気の回収率を知ったなら、じゃぁ最低人気の回収率はどうなんだ、というのも知りたいのが人情というもの。で、調べてみました。

投票法別 最低人気の回収率
年度 単勝 複勝 枠連 馬連 ワイド 馬単 3連複 3連単
1988年 46.37% 47.38% 11.88%
1989年 46.25% 46.91% 10.34%
1990年 24.77% 45.63% 16.86%
1991年 39.29% 47.89% 5.48% 0%
1992年 50.83% 43.21% 7.26% 0%
1993年 53.23% 49.47% 46.92% 28.44%
1994年 48.61% 52.49% 8.77% 0%
1995年 46.41% 49.83% 36.03% 52.41%
1996年 50.92% 48.98% 37.67% 48.07%
1997年 40.33% 48.22% 48.34% 0%
1998年 59.20% 56.68% 26.81% 0%
1999年 47.33% 46.33% 38.19% 49.03% 138.08%
2000年 44.25% 42.95% 29.14% 0% 23.59%
2001年 49.47% 33.32% 43.45% 0% 27.89%
2002年 34.72% 53.93% 26.70% 31.55% 24.58% 0% 0%
2003年 39.72% 49.11% 0% 0% 11.74% 0% 0%
2004年 25.27% 34.10% 11.21% 0% 25.13% 158.44% 0% 0%
2005年 33.23% 40.98% 0% 127.22% 7.76% 0% 0% 0%
2006年 42.14% 38.80% 0% 48.41% 8.00% 0% 0.15% 0%
2007年 27.38% 37.45% 39.04% 0% 52.65% 0% 0% 0%
平均 42.48% 45.67% 22.30% 24.14% 24.19% 28.74% 0.03% 0%

 いやぁ、これはヒドイ。最低人気を買い続けてもあまりいいことは無いですね。馬連、ワイド、馬単で 100% を超えた年が1つずつありますが、 0% ってのもかなりありますね。ゼロは、その年度は払い戻しが1件も無かった、ということです。

 3連単に至っては一度も来たことないですよ。3連単は18頭立ての場合で 4896通り になるわけですが、3連単発売レース数は本日時点でもまだ 4896レースに到達していないので、1回も出てないことは確率的には仕方ないのかも知れません。

 3連複は1度だけ来てますが、これは4頭立て4番人気で配当金は 520円 に終わっています。なお、今年2月に、白富士ステークスで14頭立て364番人気で 127,790円 というのがありましたが、3連複も最低人気が来る確率は相当低いようです。

 以上そんなわけで、機械的に1番人気だけ買い続けても割と普通な回収率しか得られず、最低人気だけ買い続けるのはダメダメ。3連単はスマートな購入法がまだまだ成熟してないらしいことが判りました。

 ちなみに、なんでこんなテーマを設定したかというと、前回の延長です。極端な本命党と、極端な穴党では、実際どれくらい差が出るのか見てみたかったのです。今回の結果を見ると、やっぱり穴党って茨の道なんですかねぇ。

 まぁ、こんなデータを出してみても、1番人気や最低人気がどうとか気にすることなく、買いたいと思った馬券しか私は買わないですけど。


 次回のテーマは何にも決めてません。気が向いたら第3回を書きます。

 あと、8/23に『web楡馬』札幌記念号を発行予定ですので、ヒマだったらご覧ください (これを読んでる方はヒマな方だと思いますが…)。よろしくお願いします〜。


[補足*1]
1番人気が的中した場合に限らず普段から割が合わないほど馬券が買われているかどうかは、詳細な3連単の票数データがあれば判明するはずです。残念ながらそれが私の手元になくて…。
各レースでの全体と1番人気の票数が判れば、1番人気の平均支持率が判ります。それが、1番人気の的中率より高ければ、1番人気を信じ過ぎ・買われ過ぎということになります。

【K馬券Q】(第1回) 人気と配当率の関係

 突然ですが、馬券を研究してみようと思い立ちました。

 …と言っても、別に“馬券で儲けよう”などとは思っていませんよ。いいですか。私は、「馬券で金儲けする術」を研究するとは言っていませんからね。私が言っているのは、「馬券」を研究しようということですから。それに“研究”って言っても気付いたこととかを書くだけですし。

 っていうか、競馬で金儲けしたければ、主催者の下で働くのが一番です。(馬場整備バイトでつくづく実感しました)

 なので、ここでは“儲ける”といった気持ちで私は書きませんし、読んでみようという奇特な方も、そんな思いは捨ててお読みあれ。基本的にシャレですから。“馬券で儲けたい”などと思っている方は、他へどうぞ。

 さて、前置きはこの辺にして…。

 「K馬券Q」とおふざけも程々に銘打って、気の向くまま不定期に馬券を研究していく第1回の内容は、

「人気と配当率の関係」です。(って、タイトルに書いてますがな…)

 馬券を買う人のタイプには、人気馬券を中心に購入する「本命党」と、人気薄を中心に購入する「穴党」があり、どちらが良いのか、という話があります。実際はどうなんでしょうか?

 実は、長い目で見ると、「本命党」のほうが損をしにくいです。(“儲かる”とは言ってませんよ〜) 感覚的とか経験的にはそんな感じもしますが、何故そうなんでしょ?

 「配当率」とか「還元率」と言われる数値があります。これは、馬券を売る側(日本だとJRAなどの主催者)が払い戻す金額の、売得金に対する割合です。馬券の購入者側としては多く払い戻してもらった方が良いに決まっているので、配当率は高いほうが購入者側には嬉しい数値です。

 この配当率、日本では75%と言われていますが、実際には75%に固定されているわけではないことはご存じでしょうか? 実は的中馬券の支持率で変動します。具体的には、レースが荒れる(的中馬券の支持率が低い)ほど配当率は低くなり、堅く収まる(支持率が高い)ほど配当率は高くなります。

 そのことは数式を使って説明できます。的中馬券に対する払戻額は、以下の式で表されます。

 W=(勝馬の投票額)、D=(負馬の投票額)、P=(勝馬の数)、R=(第1控除率)、r=(第2控除率)、とすると、

 R、r はそれぞれ、0.18、0.10です。また、話を簡単化するために、単勝や馬連のように勝馬[*1]の数が 1 である投票法(3着払の複勝やワイドは 3)を例にすると、P は 1 (同着はここでは無視)なので、(W+D/P)は売得金そのものです。これを F と置き換えて上記式を整理すると、

 となります。この払戻額を、売得金 F で割ったものが、目指すべき「配当率」となります。

 この式において、 W/F とは、売得金に占める勝馬の投票額の割合、つまり単勝馬券だと「単勝支持率」と呼ばれているヤツです。よって、上記式は、支持率が高いほど配当率が高くなることを示しています。例えば、支持率 1% の馬券の配当率は 73.9% になりますが、支持率 50% の馬券の配当率は 78.8% になり、約 5 ポイントの差が生じます。

 以上が、「長い目で見ると、本命党のほうが損をしにくい」という根拠です。ですが、もちろん小松政夫ばりに「長い目で見て」平均化した場合の話であって、瞬間最大風速がどうなるかは分かりませんものねぇ。


 あと、おまけになりますが、上記の払戻額を勝馬の投票額 W で割ったものは「配当金」になります。レース確定後に発表されるアレです。

 ここで 100 を掛けている理由は言わずもがなですが、さらに正確には、これで求まった数値から、10円未満の端数を切り捨てたものが実際の配当金です。[*2]

 この式において、F/W は、上述の支持率の逆数です。よってこの式は、支持率から配当金を求める式になっています。(複勝やワイド、また同着を考慮すべき場合はこれでは無理)

 これを基に、Microsoft Excel で簡単に支持率から配当金の計算をさせる式を書いてみましょう。A1セルに、

=ROUNDDOWN((73.8/A2+0.1)*100,-1)

と記述しておきます。A2セルに、支持率を%値で与えてやれば、A1セルに配当金が出ます。但し、プラス10は考慮していませんし、82 より大きい値を入れると、100円を割ってしまいますんで、ご注意を〜。

 また、逆に、オッズから凡その支持率を求める式も書いておきます。B1セルに、

=73.8/(B2-0.1)

と記述しておきます。B2セルに、オッズを与えてやれば、B1セルに支持率が%値で出ます。但し、もともとオッズは端数を切り捨てられた上での数値なので、正確な支持率にはなりませんよ〜。あくまで「凡そ」です。

 支持率は、世間が考えたその馬券の的中確率、と見做せます。馬券を購入する際に、その的中確率が自分の思うものと、世間が思うものと、どの程度の差があるのかをチェックするのに、この Excel が使えるかも知れません。まぁ、100%的中するという絶対的な自信を持って購入する人には不要ですねぇ。(私も使わないですね)


[補足*1]
ここで言う“勝馬”とは1着馬のことではなく、的中の組合せのこと。馬券の正式名称が「勝馬投票券」であることからも分かるかと思います。馬連とか3連単とかは、厳密には馬にではなく、組合せに投票していますよね。逆に、不的中の組合せを“負馬”と呼びます。

[補足*2]
実際、この式に適当な数値を代入して計算してみると分かりますが、大抵の場合で1円単位の端数が出ます。この切り捨てた分は主催者の取り分になります。配当金の数字だけ見ると、それくらいなら…とも思えるのですが、1票あたりでは小さくとも、全的中馬券で合計してみるとそれなりの額になります。JRAでは、端数切り捨て分だけで年間150億円以上になった年もあるそうです。

ちなみに、今年からJRAが始めた「プラス10」は、この端数切り捨てによる収得金が財源ではないでしょうか。トータル的に財源としては余るほど十分です。主催者の収益は売得金からの控除金が本来であって、端数切り捨て分は本来的な収益ではありません。本質的には馬券購入者に還元すべきものです。昨年まではそれをJRAが自分たちのものにしていたのを、今年になってファンに還元しようというだけのことです。それもほんの一部に過ぎないはずです。端数切り捨ては、毎レースの各式別で勝馬1票あたり0〜10円未満が発生しますが、平均して5円発生すると考えれば、2レースに1度の確率でプラス10を全式別に適用することがない限り、端数切り捨て分を全て還元し切れません。

そんなわけで、プラス10はJRAが出血サービスをしてるかのような印象を抱いているとしたら、それは間違いですよ。あれくらいはむしろ馬券購入者としては払い戻してもらって当然のものですから。そう考えると、プラス10の仕組みだと、穴党の人はガチガチ人気の馬券は買わないから、端数切り捨て分を払うばっかりで受け取れないですね。本命党に持っていかれちゃうわけです。あー、その意味でも本命党のほうが損しにくいですね。